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食を変えると人生が変わる・健康は人生の総合芸術・含福来幸・Create new tradition of KOJI cuisine  


by 元祖糀料理研究家 小紺有花
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塩麹、どうなれば成功?失敗?


「塩麹、作ってみたんですけど失敗しました。」
という声をちょくちょく聞きます。

そういう時必ず、「どうすれば失敗するの?」と思ってしまいます。
だって、失敗するのが難しいくらい、塩麹の仕込みは簡単なんですから。

で、「どうなったんですか?」って必ず聞いて、その場でカウンセリングします。

すると、大抵「実は失敗では無い」ことが判明します。
皆さん、色々と勘違いされて「失敗した」と判断してしまうようです。
で、勿体ない事にほとんどの人がその塩麹を捨ててしまっているのです!!

捨てないで〜〜〜!

良くある失敗と思い込んでいる要素をあげると。。。

1)全体の色が変わって来た。(生成り色やうっすらグレーがかって来るなど)
2)分離して来た(液体ともろみの2層に別れる)
3)変な匂いがして来た(最初と匂いが変わって来る)
4)酸味が出て来た
5)泡立って来た
6)一向にとろみが出ない。塩辛いまんまで甘味も旨味も出てこない。
7)モケモケとした毛羽が表面に生えて来た

などです。

このうち、本当にちょっとヤバいのは7)のケースだけです。それでも完全に失敗とは限りません。
モケモケしている毛羽の色が白いうちは麹カビだと考えられますので、まだギリギリセーフです。混ぜるのをあまりにさぼると(1週間~10日以上混ぜないとか)表面に白い毛羽が立つときがあります。あまり良い兆候ではありませんので、早めに対処しましょう。
毛羽がわずかな場合は混ぜ込んでしまえばイイですし、大量にはびこっていたらその表面だけ削り取って、2〜3日に一度は混ぜるようにしましょう。
でも、毛羽の中に赤や青やグレーなどの色が混じっていたら、それは雑菌が繁殖している証拠です。その時は失敗と判断して下さい。

あとの1)〜6)のケースはほとんどの場合失敗ではありません。

1)麹の種類や塩の種類によって熟成が進むと全体に色が生成りやグレーになる事があります。ミネラル分の多い高級な塩を使うほどその傾向が強いようです。品質には問題ありません。

2)熟成がすすむと、麹の米の分解がすすみ、水分が多くなります。そして固形分であるもろみが沈殿して、水分が上澄みになります。使う時によく混ぜればいいだけの事ですから全く問題ありません。むしろ順調に発酵が進んでいる証拠です。

3)匂いは実際に嗅いでみないと正しい判断は出来ませんが、たいていアルコール臭だったりします。麹ですからお酒と本質が同じです。発酵がすすむほどにお酒のような匂いがして来る事があります。全く問題ありません。

4)酸味が出て来るのは乳酸発酵が進んで来た為だと思います。塩分濃度が低い(10%以下)と酸っぱくなりやすいと思います。料理に使ったときの味の影響を考えると酸味が邪魔になる事があるので、出来れば避けたい変化ですが、腐っている訳ではありません。
でも、塩分濃度が低いと雑菌も繁殖しやすく、管理もしにくくなるので麹:塩:水=10:3:10の重量比を守って約13%の塩分濃度にした方が家庭では扱いやすく、失敗も少なく、オススメです。

5)ブクブクと泡立って、もろみが上に盛り上がって来ると、本当に驚かれる方が多いです。「失敗したのでは?!」とよく質問メールを頂きます。これは酵母発酵が始まったということなので、全く問題ありません。酵母発酵するとアルコールと炭酸ガスが発生します。炭酸ガスの力でブクブクして来るのです。元気に発酵している証拠ですし、料理酒の要素も加わったと思えばいいわけです。
私は酵母発酵するくらいこなれて来た方が美味しいと思っています。
我が家では3週間〜1ヶ月目くらいで必ず酵母発酵して来ますが、どんなに待ってもブクブクして来ないお宅もあるようです。そこが菌の世界の不思議な所です。

6)この場合、たいてい1週間目くらいのまだまだ発酵の浅い段階で判断していたり、早々に冷蔵庫に入れてしまっていたりします。冷たく寒い環境では塩麹はなかなか熟成して行きません。最低でも3週間は常温においておかないと、とろみも出て来ないし、旨味が乗らず塩角もとれません。
1週間で完熟するのは本当に暑い夏の真っ只中くらいです。2〜3週間を目安に季節によって熟成期間を調節します。冬の室温が低い時期は熟成に1ヶ月以上かかるとこもあります。そんな時は暖房の効いた部屋に置くなど工夫すると良いでしょう。
日数にこだわらず、麹の変化を観察して、そのつど味見するなどして使い時を判断するようにすると良いでしょう。



生きている麹と会話するような気持ちで、接して行けば自然と「頃合い」というものが自分で分かって来ると思います。

思っている期間内に思ったような変化を見せなくても、
決してあきらめずに気長につきあってみて下さい。

本当に捨てるべきときは、表面にいやな色のカビが繁殖したときくらいですよ。
by yuka-729 | 2012-11-22 17:40 | Food diary